カイロプラクティックと言ってもやり方は色々ありますが、首の骨(頸椎)の矯正でアジャストやスラスト法といった施術があります。
これは首を引っ張ったり、回したり、バキバキ、ボキボキ鳴らしたりすることで首の骨である頸椎(けいつい)の矯正を行うものですが、これについては危険性があり、注意が必要です。
今回はカイロプラクティックの首のアジャスト、スラスト法などの頸椎調整について、また危険性について個人の見解も踏まえ記載していこうと思います。
ただカイロプラクティックが悪いとは言っているわけではなく、一部危険な手技があるという内容について記載しております。そのような施術方法をとっていない安全なカイロプラクターの方や正しい知識を持って行われている方もたくさんいらっしゃいます。
目次
簡単にカイロプラクティックについて
まずはじめに簡単にカイロプラクティックについて記載します。
カイロプラクティックは1895年にアメリカのD.D.パーマーによって創始された手技療法です。
パーマーは17年間耳が聞こえなかった方を調べていた際、背骨に盛り上がりがあることを見つけ、本人承諾の上、盛り上がっている部分を手で矯正し元に戻しました。そうすると17年間聞こえなかった方の耳が聞こえるようになりました。これがカイロプラクティックの始まりであり、有名な話でもあります。脊椎(背骨)の異常や歪みの矯正を行うことで自然治癒力を高め、体を健康な状態に戻すということが目的であり、メインの施術は背骨の矯正であります。
現在では世界85ヶ国以上に広まり、40ヶ国以上で法制化され国家資格となっております。
アメリカではカイロプラクティックには厳しい基準が設けられており、カイロドクターとも言われ、医師と同じく第一医療機関とされています。
日本では2021年現在の時点で法制化されておらず、あくまでも民間医療の位置づけある為、知識や技術、安全性はまちまちです。(これは整体も同じですが。)
頸椎の調整であるアジャスト、ソラスト法とは
首を引っ張ったり、急激な回転を加えたりし、首の骨である頸椎(けいつい)の矯正を行う治療法です。その際バキバキ、ボキボキ首から音が鳴ったりします。
事故の例がある
カイロプラクティックの発祥の地であるアメリカでは施術を受けたあとに脳卒中、半身麻痺になった事例が発生しています。死亡例も取り上げられていますが、これについては因果関係ははっきりはしておりません。
これらはプロの施術者が細心の注意を払って行ったにもかかわらず起きている事故です。
そして初めに記載した通り、日本では法制化されてはいないため、カイロプラクターの技術と知識にばらつきが多いです。
日本の消費者庁にも首の施術ではありませんが、以下のような事例についての問い合わせがあがっています。
[神経を痛めた事例]
・施術を受けた直後に肩から指先までしびれが発生し、検査の結果「尺骨神経まひ」と診断され手術をした。8か月経過したが完治していない。….
などなど。
ちなみに事故の例についてあげればカイロプラクティックに限ったことではなく整体でも骨折などの事例は発生しています。施術において一番大事なことは安心、安全であることです。手技療法は副作用がなく改善も期待できますが、悪化させる危険性もあるということです。施術を受けたときの刺激は少ないかもしれませんが、体を傷つけることがないようなソフトな手技の方が良いと思っています。
100歩譲って施術を受けたけど、あんまり変わらなかったならまだ良いかと思います。
だめですかね
悪化させる危険性は少しでも排除した方が良いです。
首は繊細で大切な場所
首には血管や神経、筋肉などがしき詰まっており、脳と体をつなぐ重要かつ繊細な場所でもあります。脳からの指令は中枢神経を通って末梢神経に繋がり、体の隅々まで指令を伝えています。
神経について
- 【中枢神経(ちゅうすうしんけい)】
- 脳と脊髄(せきずい)から成り立ち、体に指令を送る神経系統の中心の役割を担っています。脳は頭蓋骨(とうがいこつ)の中にあり、脊髄は脊柱(せきちゅう)の中を通っています。
- 【末梢神経(まっしょうしんけい)】
- 中枢神経と、体表や体内の諸器官に分布する神経の総称です。
神経は傷つくと治らない
神経が傷ついたり、切れたりすると治せる技術は現在の医学ではないです。
筋肉を強く押すと翌日痛くなるのが”もみ返し”です。もみ返しもダメですが、休息をとれば治ります。
しかし神経は一度壊れる元に戻らないです。
脳からの指令が神経を通じて体を動かすわけですが、交通事故で首の神経を損傷すると体へ指令が届かなくなるため、全身不随になります。腰の部分で神経を痛めると脳からの指令が腰から下に伝わらなくなり、下半身不随となるのです。
神経は傷つくと麻痺も起こります。
通常の施術の範囲では神経を痛めることはありませんが、首のアジャストやスラスト法は間違えたやり方で行うとすごく危険で、神経を痛めてしまい元に戻らなくなる可能性が潜んでいます。
人の体は全員違う
さきほどの事故の例でもカイロプラクティックの発祥国であるアメリカで起きたことです。アメリカでは初めに記載したとおり、医者並みの権威があり、難しい試験に通った方がカイロプラクターとして働かれております。
そのような実力がある方達でさえ事故の例があるということです。1000人に施術を行って、1人でも悪くなる可能性があったとして、その危険性が大きいと思えます。
筋肉系統の施術でここまで大きな事故には繋がらないかと思いますが、首の調整についてはそれが起こりえます。
※ほとんど事故などは起きず、調子が良くなることが多いですが、悪化する危険性も少しですがあるということです。
国家資格保持者が行っている?
以前テレビで、鍼灸師の方が首の矯正行為(首をボキボキ鳴らし、ひっぱりながら回す)を行なって、国家資格を持っている凄腕の~というような紹介をされていたのことを見かけたことがあるのですが、はじめに記載したとおり日本ではカイロプラクティック行為に国家資格というものがありません。
ネット上にも似たような記事や動画が上がっていることはあります。
例えば、
歯医者さんが首の矯正行為でバキバキ鳴らすスラスト法を行なって、
「国家資格を持っているから安全です」
と謳っていると、国会資格を持っているのは合っていますが、それは歯に関する資格であります。
基本的に日本の法律では体に害を及ぼす恐れがある行為については国が定めた資格を持っている者しか行えないようになっています。わかりやすい例が外科医です。人の体にメスを入れる者は国が定めた資格を持っていないといけないです。
これは他の国家資格も同様です。柔道整復師、理学療法士などが少し誤解を招きやすくなりますが、どちらも首や背骨の矯正などは学校では習うことはなく、専門が違います。学校とは別に学ばれ知識や技術レベルが高い人もいるのは事実ですが、日本で行われている首の矯正行為は国では制度化されているものはないです。これは整体も含めて慢性痛に対する手技全てに言えることですが。
厚生労働省から注意喚起の指針が
2 いわゆるカイロプラクティック療法に対する取扱いについて
近時、カイロプラクティックと称して多様な療法を行う者が増加してきているが、カイロプラクティック療法については、従来よりその有効性や危険性が明らかでなかったため、当省に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設けて検討を行ってきたところである。今般、同研究会より別添のとおり報告書がとりまとめられたが、同報告においては、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す一方で、同療法による事故を未然に防止するために必要な事項を指摘している。
こうした報告内容を踏まえ、今後のカイロプラクティック療法に対する取扱いについては、以下のとおりとする。
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(2) 一部の危険な手技の禁止
カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。
技術が高い人がいるの本当
危険性があると言っても、施術を受けて悪くなる方はごくまれで、ほとんどの方は良い効果が期待できると思います。
最後に
カイロプラクティックは効果的な手技でもあるため世界中に広まり法制化されている国が多くあるわけです。しかし日本においては法整化されていない為施術者によってやり方は様々です。そして危険な手技もあるということは認識しておかないといけないです。